【雇用関係記事】2015年9月1日 日経朝刊29面「(キャリアアップ)派遣社員、7割近く法改正案『反対』 」 「参議院で審議中の労働者派遣法の改正案について、派遣社員・契約社員の68%が反対していることが日本経済新聞社とNTTコムオンライ ン・マーケティング・ソリューションの共同調査でわかった」との記事である。 「労働者派遣法改正案は秘書など期間制限のないいわゆる『専門26業務』と、最長3年とされているその他業務(自由化業務)という現在の区分をなくし、全ての職種で同じ職場に最長3年勤務できるようにすることが骨子」であるが、この法案の最大の問題点は、専門26業務の要件の廃止によって、派遣労働者が正社員の下働きに堕することが懸念される点である。 記事へのコメントで、リクルートワークス研の中村主任研究員は、「現在の労働者派遣法は26業務とそれ以外の自由化業務の区分があいまいでわかりづらい内容になっている」としているが、これは、派遣労働者を、企業が、今でも違法な電話番や机拭きなどの便利屋に使おうとしていることによる。 派遣労働の趣旨や意義は、本来、企業が恒常的には雇用する余裕のない専門的な人材を、臨時的・一時的に活用するためのものであり、「ヒト」ではなく、「機能」に着目するものであろう。この法案は、その意義を破壊する。派遣労働は専門的技能の限定に戻し、非正規労働は同一労働同一賃金の原則に従うようにすることが、本来ではないか。 |